デュアルトラック戦略(IPOとM&Aの両立)の活用
東証グロース市場の課題と成長戦略提案
現状と課題
東証グロース市場へのIPO企業は、IPO後に持続的な成長を達成できないことが指摘されています。1980年代には日本企業が時価総額上位を占めていたものの、現在は米国企業がスタートアップから急成長し、上位を独占しています。東証グロース市場におけるIPO企業976社(1999~2023年)の時価総額の推移を見ると、公開後12ヶ月で公開価格を上回るものの、24ヶ月以降は減少傾向が顕著というデータがあります。
IPO市場の課題
IPO前後の課題には以下のものが挙げられます:
- 大規模なグロース投資が限定的。
- ベンチャーキャピタルの資金調達期限問題と未発達なセカンダリー市場。
- 国内市場に依存したスタートアップと資金調達の少額化。
- IPO時の公募価格と初値の乖離による過小値付け問題。
解決策と取り組み
これらの課題に対して、ナスダックのように上場維持基準を厳格化し、ガバナンス強化も提案されていますが、日本には米国のOTC市場に相当する受け皿がなく、状況が異なります。IPO企業が成長を遂げられない現状を克服するため、以下のような対応策が考えられます。
- M&Aの活用: IPO企業は、成長のために他社資源を利用するM&Aを促進すべき。特に、ハンズオン投資家による支援を通じて、成長モデルやビジネス拡大が必要です。
- ハンズオン投資家主導: 経営者と投資家が連携し、M&Aを通じた企業価値向上を目指します。これにより、国内外での市場拡大や事業モデルの強化が可能となります。
- ロールアップIPO: これは複数の企業を統合し、大規模化してからIPOを行う戦略です。これにより、企業はスケールメリットを得て、持続的成長が可能となります。米国では1990年代から一般的な戦略として取り入れられており、日本でも今後注目されるべきアプローチです。
- スイングバイIPO: 大企業の傘下で事業を成長させた後にIPOを行う手法です。これにより、スタートアップは大企業のリソースを活用し、十分な事業基盤を築いてから上場し、市場での競争力を強化できます。
資金調達の強化
IPO時の公募資金は成長のための投資として十分でないケースが多く、IPO企業の経営者が公募調達による現金をM&Aに積極的に投じることで、IPOを成長の起点とする戦略設計が必要です。
スタートアップがIPOとM&Aの両方を見据えた資本政策(デュアルトラック戦略)を立案し、日本のIPO企業が持続的成長を遂げられるよう支援する環境整備が求められます。
