急拡大するTOKYO PRO Market(東京プロマーケット)とは?

目次

はじめに

2024年、東京証券取引所が運営するTOKYO PRO Market(以下、TPM)の新規上場数が過去最多の50社に到達しました。これまで「マイナー市場」「ニッチな存在」と見られていたTPMですが、今では地方企業や中堅企業の“現実的な上場手段”として注目を集めています

本記事では、TPM市場の基本的な仕組みから、2024年のデータ総括、メリット・デメリット、今後の展望までを網羅的に解説します。


TOKYO PRO Market(TPM)とは?

TPMは、東京証券取引所が2012年に開設した「特定投資家向け市場」で、上場できる企業にとっては、一般市場(スタンダード・グロース等)よりも柔軟な上場要件とスピーディな審査プロセスが特徴で、「成長意欲がある企業が、まず上場の第一歩を踏み出すための登竜門」のような市場というイメージになります。

「一般市場への上場はまだ難しいが、上場企業としての信用力を獲得したい」といった企業にとっては、極めて実用的な選択肢と考えられます。

▼ 特徴まとめ

項目内容
対象投資家特定投資家(主に機関投資家)
上場審査J-Adviser(認定アドバイザー)が実施
上場要件形式基準なし(株主数や利益要件なし)
株式流通流動性要件なし(一般市場より柔軟)
開示義務一定の継続開示義務あり(ただし特定投資家向け)
ステップアップ一般市場への上場移行も可能

2024年のTPM:成長の実態と数字から見る変化

新規上場社数:前年比で大幅増の50社

2024年の新規上場社数は過去最多の50社に到達し、2021年の13社からわずか3年で約4倍に増加しました。

累計では2024年末時点で133社が上場しており、着実に“市民権”を得つつある市場です。参考までに、2024年の東証グロース市場の新規上場は64社。TPMがいかに急成長しているかがわかります。

上場が増えた理由とは?

  1. 市場認知度の向上
  2. ステップアップ上場の実績蓄積
  3. J-Adviserの増加と支援体制の充実
  4. グロース市場の審査厳格化
  5. 地方企業の上場意欲の高まり

「まずはTPMで信用力を得て、いずれグロースへ」という段階的なIPO戦略が選ばれるようになってきており、上場企業としてガバナンス体制を整えた上で、将来的にM&Aによる成長を視野に入れているというケースも見受けられます。


上場企業の傾向:2024年データ分析

🔹 業績規模の変化

  • 売上高の中央値は約22億円(前年より大幅増)
  • 経常利益は1億円を下回る(利益面では小規模企業が多い)

これは、新規参入企業の多様化によって業績規模が広がっていることを示しています。

🔹 本社所在地:地方からの上場が目立つ

  • 東京都:22社(44%)
  • 地方企業が半数以上を占める点は、TPMの大きな特徴です。
  • 一般市場(東京本社が73%)と比べても、地域分散が進んでいる市場です。

🔹 設立年数:老舗企業が多い

  • 設立11年以上の企業が全体の8割
  • 一般市場(約5割)よりも、長い事業実績を持つ企業が多く、信頼性の面でも評価されやすい傾向があります。

🔹 業種構成:バランス型

  • サービス業・情報通信業で約4割
  • 不動産・建設業で約3割
  • かつての「多様性重視」から、徐々に一般市場に近い構成へと移行しつつあります。

注目トピック:2024年の象徴的な事例

✅ ステップアップ上場の増加

  • 累計13社がTPMから一般市場へ上場移行
  • 東証だけでなく、地方証券取引所→東証という段階的戦略も

例:QLSホールディングス(TPM → 名証 → 東証グロース)

✅ 特定投資家向け売付け勧誘の初事例(BABY JOB)

  • 既存株主がVCなどに株式を譲渡するスキームをTPMで初実施
  • TPMでも資金流動の可能性が広がっていることを象徴

✅ J-Adviser契約から7ヶ月での短期上場

  • 同じくBABY JOBが、J-Adviser契約からわずか7ヵ月で上場
  • 一般市場の準備済企業であれば、短期スパンでの上場も可能

TPM市場のメリットとデメリット

メリット

  1. 形式要件が緩やか
    • 利益・株主数の基準なし
  2. スピード上場が可能
    • 最短1年未満でも可
  3. 信用力・採用力の向上
    • 「上場企業」というブランド
  4. 柔軟な上場形態
    • 資金調達をしない上場もOK
  5. 地方企業にとって現実的
    • 地元金融機関がJ-Adviserとなる例も増加

デメリット・注意点

  1. 資金調達効果は限定的
    • 投資家が限られているため
  2. 一般投資家が売買不可
    • 流動性は乏しい
  3. 上場維持費用は発生
    • 年間数百万のコスト
  4. 上場後もガバナンス維持が必要
    • 内部管理体制や監査が継続的に求められる

TPMに向いている企業

  • 一般市場の要件が厳しく、ハードルを感じている中堅・中小企業
  • オーナー比率を維持しつつ、信用力を上げたい企業
  • 地方企業で、採用・取引面でのアピールを強化したい企業
  • 将来的にグロース市場等へ移行を計画している企業

まとめ:2025年もTPMの拡大は続く可能性が高い

TOKYO PRO Marketは、単なる「マイナー市場」ではなく、戦略的に使える上場の入口として、確かな地位を築きつつあります。

2025年はさらに多くの企業がこの市場に注目し、実際に上場を果たすと見込まれます。
J-Adviserも増えており、支援体制も整ってきた今、上場準備の選択肢としてTPMを検討する価値は非常に高まっています。

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